密教秘術のコラム〈第1回〉密教秘術密教とほかの仏教はどう違うの?
密教と聞いて、どんなものかピンと来ない方もいらっしゃるかと思います。しかし、『真言宗』、『天台宗』と聞けば、身近に感じるのではないでしょうか?どちらも、密教の代表的な宗派であり、日本では一般的な仏教です。しかし、密教にはそのほかにもさまざまな宗派があり、それぞれ教えは異なります。ここでは一般的な密教の要素をいくつかご説明したいと思います。
西暦500年~600年頃、インド仏教の歴史の中では後のほうになって密教は発生したと言われています。それが中国を経て日本に伝わりました。そのほかの仏教との大きな違いを述べますと、密教以外の仏教(顕教)がお釈迦さまを主尊とするのに対し、密教では大日如来を主尊とし、その大日如来が化身した姿がその他あらゆる仏さまだと考えられています。阿弥陀如来や観音菩薩、不動明王といった仏さまは、すべて広大無辺の力を持つ大日如来の一面を示す姿なのです。悲しんでいる人にはそれを癒す姿。苦しんでいる人にはその苦しみを和らげる姿となって、私たちを真理の道へと導いてくださるのです。密教系の寺院でさまざまな仏さまをご本尊としているのは、どの仏さまも大日如来の一面であるためです。
密教の本当の意味を知るには、相当な修行と勉強が必要です。しかし、仏の『智慧』の一部に触れるだけでも、多くの救いを得られるのは確かです。